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このブログは株式会社トミーウォーカーの運営するPBW(プレイ・バイ・ウェブ)シルバーレインのキャラクター『叢雲・識』と彼女の姉妹たち、そして従妹による日記です。 このブログ内で使用されるイラストはシルバーレインの世界観を元に株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。イラストの使用権は作品を発注した叢雲・識、叢雲・律、叢雲・恋、叢雲・凛、草薙・哭に、著作権は作成を担当したイラストマスター様及びイラマス候補生様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
プロフィール
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年齢:
35
性別:
非公開
誕生日:
1982/12/05
趣味:
お絵描き、音楽鑑賞、プログラミング、情報検索
自己紹介:
メッセアドレス:blue_swing@hotmail.co.jp
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 そこは普段であれば見向きもせずに通り過ぎる様な、小さな公園だった。

 遊具は錆の浮いた滑り台と塗装が剥がれまくったブランコのみ。滑り台のそばには一応、狭い砂場もある。三方を古ぼけたビル、或いは人の住んでる気配が感じられない民家に囲まれてて日当たり悪し。見るからに子供たちには人気が無さそう。実際、この公園で子供の姿を見るなんて一月に一回あるかないかだ。
 どうやら今日は、その月に一回に当たったらしい。ただし、その子は別に遊んでるわけじゃなかったけど。
 黒髪に黒のパーカー、下は黒のミニスカートに黒のタイツに黒のスニーカーに・・・とにかく全身、真っ黒。髪はツンツンと四方八方にはねてその存在感を存分に際立たせている。その横顔はなかなかに端整。ちょっと太めの眉を差し引いてもかわいいと言えるだろう。
 ただし。その眉が天を突くかのごとく上を向いていたり口がへの字にひん曲がっていなければ。
 彼女は仁王立ちで微動だにせず、ある一点を凝視している。何かあるのかといぶかしげにその視線の先を追い・・・。
「げっ」
 思わず声を上げてしまった。
 口を押さえて視線を女の子に戻す。と、案の定女の子は体の向きごと変えてこちらを見て・・・いや、睨みつけていた。でも、それだけ。特にとがめるでも何かを問うでもなくじっとこっちを睨んでくるばかりだ。
 別にそのまま、無視してその場を立ち去っても良かった・・・んだけど、彼女の挑んでくるような視線がなんだか癇に障った。
「ちょっと、こんなとこで何してんの」
 負けじとガンくれてすごんでみる。ふいっと体ごと向きを変えてさっきの場所に視線を戻す女の子。
 無視かよ。
「ちょっと! ここで何してんのかって聞いてんの! 無視すんな!」
 肩をいからせながらずかずかと女の子に近付く。
 と、女の子は今度は視線だけ動かしてこっちを見るとボソリと一言。
「観察だ」
「・・・はぁ?」
 観察? あんなものを? だってアレは・・・。
 問題の『アレ』に視線を向ける。錆付いた滑り台の下に、それはあった。薄い紫色のモヤの様な、『アレ』。
「危険でしょそんなの。や、あんたそもそもアレがなんなのか分かってんの?」
「分かっていなければ最初から観察などしていない。アレは・・・残留思念だ」
 残留思念。この世に強い怨念を残して死んだ生物の『負の感情』の塊。放っておけば遅かれ早かれゴーストとなり、罪もない人々が襲われる事になる。地縛霊になればまだ被害はこの公園内だけだろうけど・・・いや、そう言う問題でもないか。
 それよりも今は。
「・・・あんた、能力者でしょ」
 残留思念の存在を知っている以上、そう言うことなんだろう。確信を持って彼女に聞いた。にもかかわらず、彼女は違う、と言うように頭を横に振る。
「じゃあなんであんなモノのこと知ってるのよ」
「見えたからだ」
 そりゃ見えるから見てたんでしょうよ。
 こっちが口を開く前に、彼女がさらに言葉を繋げた。
「私がアレを『見た』のは二日前。近々アレは地縛霊になり、少なくとも三人の子供の命を奪う事になる」
 ますます分からない。何で彼女はそんな先の事が分かるのか。コレではまるで予言だ・・・ん? 予言?
「そう言うお前は能力者だな」
 何かを思い出しかけて首を右左に捻ってたところに声が掛かった。その所為で頭の中に形になりかけてたものが霧散しちゃった。
 まぁいいかと思いつつ。此処まできて隠してもしょうがないので、素直に頷いた。
「うん、そうだよ」
「そうか」
 女の子は短く応じると一つ頷き、ずかずかと残留思念に向かって行く。その手にはいつの間に取り出したのか透明な袋。中にはキラキラと綺麗に輝く粉末状の物ってちょい待ち?!
「待て待て待て待て! 一体何する気?!」
「残留思念があり、能力者がいる。ならばやる事は一つだ。アレを無理矢理ゴースト化してお前に退治してもらう」
「退治してもらうって・・・ボクの意志は?!」
「関係無い。ゴーストを滅する、それがお前たち能力者の使命の筈だ・・・放せ」
「放すか! こっちにも準備ってもんがある! おもに心の!」
 詠唱銀の粉が入った袋を持つ手を掴んで放さないボク。抵抗して残留思念に粉を振りかけようとする女の子。女の子は大体ボクと同じくらいの身長で、見かけほっそりしてるのに膂力は結構あった。
 引かれては引き、引いては引かれの攻防を繰り返す。
「アレが地縛霊になる日時は明確には分からない。被害が出る前に早急に消す必要がある」
「だからって! 失敗でもして取り逃がしたらもっと被害が出る事になるでしょうが!」
「地縛霊だと言っている。此処に人が寄って来ない限り被害は出ない。失敗しても被害は最小限で抑えられる」
「最小限じゃなくって、ゼロにする事を考えるべきでしょ!」
「怖がる気持ちは分かるが安心しろ。生まれたての地縛霊は力も弱い。お前程度でも楽に勝てるはずだ」
 ぶちんっ。
 あ・・・なんだろ。コメカミ辺りで何かが切れる音が聞こえた。
「怖い? お前程度?! あんったがボクの何を知ってるって?! そこまで言うならやってやろうじゃない! こう見えてもゴースト退治は初めてじゃないんだから!」
 後になって冷静に考えてみれば嵌められたような気がするけどそんなことはもうどうでも良かった。こんなこと言われてやすやすと引き下がるボクじゃない。
 ポケットから常に持ち歩いてるカードを取り出す。
「良く言った」
 女の子は一つ満足そうに頷くと、詠唱銀の粉を手に取り残留思念に振りかけた。同時にボクもカードを掲げ、キーワードを叫ぶ。
「イグニッション!」


 一瞬の後、ボクの手の中に黒い刀身に真っ赤な文字のような物が浮かび上がった長剣が現れる。能力者となった時からボクと一緒に『成長してきた』剣、月夜見荒魂尊(ツクヨミノアラミタマノミコト)。手に入れたばっかりのときはちょっと肉厚のナイフ程度だったのに、年々伸びてって今では刃渡り80cm程になってる。
 残留思念のほうは振りかけた詠唱銀の粉末に反応して、徐々に人の形を象っていくところだった。
 ソイツは身長からすれば5,6歳くらいの子供。服装は半袖のシャツに短パンと、一見して男の子のように見えるが、この歳だとパッと見、性別は分からなかった。ぼさぼさの髪に隠れて目元は見えない。ただ・・・苦しげに歪められた口元と、両腕、両足に浮かぶ青痣やミミズ腫れが痛々しい。そして、その足に絡みつく無数の鎖・・・紛れもない、地縛霊である証拠だ。
『・・・カ・・・ァ・・・ハッ・・・』
 ソイツの口から、意味の無い声が吐き出される。ボロボロの手を上げ見つめ、次いで前髪に隠れた視線を周囲へ巡らし・・・その先が、未だ目の前に突っ立ってる女の子に止まる。
「って何してんのよ!? 離れなさい!」
 ボクが一足飛びで女の子と地縛霊の間に割り込むのと、地縛霊から糸のような物が無数に吐き出されるのが同時。糸は大部分を切り落としたけど、それでも数本が足や頬を掠める。焼け付くような痛みが走るが、とりあえず致命傷にはなっていない。
 チラッと後方を確認する。女の子はさっきと変わらず突っ立ったままで動く気配がない。今の地縛霊の攻撃で怪我を負った様子もない。そこまで確認して、怒鳴りつける。
「さっさと下がる! 死にたいの!?」
「!! ・・・あ、あぁ」
 怒鳴られてようやく我に返ったのか、女の子は振り返って走り出す。
 気丈なように見えて、そう言う風に振舞ってたけど。さすがにゴーストを目の前にして恐怖を感じてるらしい。ある程度距離を取って再び振り返ったその顔には、明らかに緊張が走っていた。何はともあれ、コレで気兼ねなく戦う事が出来る。
 地縛霊に視線を戻す。既に次の攻撃が迫ってきていた。
「うわっとぉ!?」
 慌てて横に飛んで回避する。今までボクのいた場所に突き刺さる無数の糸。その端は地縛霊の手足に浮かんだミミズ腫れから伸びていた。いや・・・良く見ればそれはミミズ腫れではなく、裂傷だった。そこから吐き出されるドス黒い血の糸がまるで矢の如き威力を持って迫ってくるんだ。
「気持ち悪いなぁ・・・」
 その言葉にカチンと来た、かどうかは知らないけど。地縛霊は立て続けに攻撃を仕掛けてきた。弾数は多いけど狙いは直線的だし、範囲も狭い。冷静になれば剣で叩き落すまでもなく全弾回避できた。
 しかし厄介だ。敵は遠距離からガンガン攻撃してくるけど、こっちは近付かないと攻撃が届きゃしない。
「なら・・・近付きゃいいんで、しょ!」
 何度目かの攻撃を回避したところで方向転換。足のバネを使って思い切り地縛霊に向かって飛び掛る。
「ガッ・・・カァーッ!!」
 地縛霊はいきなり自分に向かってくるボクに焦ったのか、体勢も整わないうちに次の攻撃を放ってきた。けど、そんな中途半端な攻撃がこのボクに通じる筈が無い!
「取った!」
 自分に向かってくる数本だけを叩き落し、すれ違いざまに地縛霊の腹部を一閃・・・手に伝わる、確かな手応え。
 ある程度距離を取って振り返れば、左脇腹を切り裂かれた地縛霊が仰向けに倒れ始めるところだった。ソイツは地面に落ちる前に端から溶けだし、霧のように風に吹かれて、完全に消えた。


「・・・終わったか」
 声に振り向けば、女の子が最初見たときと同じ表情で立っていた。先ほど見せた緊張の色は、今は欠片もない。
「何とかね」
 イグニッションを解いて、乱れた髪を整える。
 女の子は地縛霊が消えた辺りまで近付くと、瞳を閉じて合掌。ボクもその隣に立って数秒、黙祷する。
「・・・ねぇ、この子なんで地縛霊になんてなっちゃったんだろう」
「彼は生前、イジメにあっていた」
 彼、と言う事はどうやら男の子だったらしい。
「体中の傷はイジメで負ったものだったんだろう。ある日この公園で一人で居たところをイジメっ子のグループに見つかり、滑り台の上まで逃げたものの追い込まれ、誤って転落。運悪く頭から落ちて首を折り・・・そのままだ」
「・・・まるで見てきたように言うね」
「実際、私は『見た』からな。その場に居たわけではないが」
 また分からない事を言う。その場にいなきゃ見ることなんて出来ないでしょうに。
 そうツッコもうと思って女の子の方を見、すぐに視線を元に戻した。だってねぇ・・・どことなく哀愁漂う表情なんてされたら何にも言えなくなっちゃうでしょ。
「さってとぉ・・・ボク、そろそろ行くよ?」
 未だに合掌したままの女の子を尻目に、大きく伸びをしながら公園の入り口に向かう。
「そうか。今日はすまなかったな・・・ありがとう」
 女の子は律儀にも体の向きごと変えて深々とお辞儀してきた。何となく、照れくさくなって視線を逸らす。
「あー・・・別に良いって。ボクの方から首突っ込んだようなもんだし」
「雪時・朝蕗」
「・・・? あぁ、名前か・・・」
 突然言われたので、何のことか分からなかった。にしても・・・。
「ユキジ・アサフキ・・・変な名前」
「悪かったな」
 あ、さっきより眉が上向いた。さすがに気分を害した模様。
「ゴメンゴメン。女の子っぽくない名前だなって思ってさ。ボクは叢雲・識だよ」
「ムラクモ・シキ・・・お前も人の事は言えないじゃないか」
「悪かったなー」
 手を使って目を吊り上げてみる。朝蕗を真似たつもり。笑いを取ろうと思ったけど、不発だった。
「ま、いいや。それじゃ今度こそ、ボクは行くよ」
「あぁ・・・また会おう、叢雲・識」
 ひらひら手を振りながらその場を後にした。


  また会おう、か・・・見かけない顔だったけど、彼女はこの辺に住んでるのかな? あんなに異様な雰囲気の子なら一度見たら絶対忘れないだろうに。そう言えば何でゴーストの事とか知ってたのか、聞くの忘れちゃったな。
 まぁ良いか、と思う。遠からず、彼女とは再び顔を合わせる事になるような気がしたから。何となく、だけど。



 朝蕗との再会は、それからわずか数週間後の事だった。


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新たな試み、SSです。乱文であるのは重々承知さ・・・(ぁぁ
オフィシャルの設定と反する部文もあるかもしれないけど、その辺もご愛嬌と言う事で。
それと長すぎとか言う苦情は受け付けません(ぇ

小学校6年生、それももう卒業間近の頃の話。まだ銀誓館学園には入っておらず、実家の方で過ごしていた時の話だ。
自分で言うのもなんだけど、今と随分印象が違うねー・・・(遠い目
この出会いから、私は朝蕗と一緒にいろいろなゴースト事件を解決していくわけだけど・・・それはまた、別のお話。

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感想
ふむふむ、叢雲さんもやはり昔は
なかなかやんちゃだったとw(メモメモ/おぃ
羽鳥 2007/05/08(Tue)21:35:53 編集
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